古民家との出会い
広いおうちへの憧れ
私は幼い頃、グランドピアノがドーン!イベント時にはミラーボールでアゲアゲ!部屋の中でインラインスケート走行うぇーい!って感じの家に住んでおり、それはもう落ち着きのないやんちゃなクソガキ時代を送っておりました。
ところが、諸事情により高校生の頃から2DK程度のアパート生活を余儀なくされました。
それまで戸建住宅で好き勝手に遊び倒していた私からすると、アパートでの生活は「とにかく狭い」「隣の部屋の生活音が気になる」「室内で遊ぶこともできない」とイヤなことのオンパレード。
広いおうちへの憧れを秘めながらも、そんな感じのアパートを転々と20年ぐらい過ごしてました。ところが、年のせいでしょうか?35歳を過ぎたあたりから秘めておくことができなくなってきて、2018年頃から頻繁に物件情報サイトを見るように…。
2019年と2020年の追い風
広いおうちへの憧れが噴火しそうな頃、2019年に夫がフリーランスになり収入が一気に増え、さらに翌年の2020年にコロナショック。ここぞとばかりにVTIにお金を突っ込み金融資産を増やしました。とはいえ、我が家の総資産は1,000万円を少し超える程度…借金嫌いの私にとって新築には手を出せません。
2023年1月13日の朝
噴火しそうなのを悶々と耐えながら物件情報を漁る日々。そんな生活を続けて数年経った2023年1月13日の朝6時頃。いつも通り物件情報を漁っていると、目を疑うような物件に出会いました。
- 土地:1,047.5㎡
- 建物:312.04㎡
- 間取り:6SLDK
- 最寄駅:徒歩20分で2WAYアクセス(近鉄線とJR線)
- 価格:1,200万円
まず最初に、土地と建物の広さで「1,000平米超え!?」と驚きました。
「どうせ駅から遠いんだろ?」と思ったら、近鉄もJRも徒歩圏内!
物件内の写真を見ると「畳とか襖とか結構キレイやん!」な状態。
価格は…「ちょっと待ってくれたら現金で買える!」
これは一回話を聞きに行ってもいいのでは?
もちろん全部が全部、望み通りの条件かと言われるとそんなことはなく、幼少期の家やその後のアパート暮らしと比較してデメリットに感じる部分はいくつかありました。例えば…
- プロパンガスであること(都市ガスよりもかなり高額だと知っている)
- 徒歩20分であること(今まで駅から徒歩10分のとこしか住んだことがなかったので相対的に…)
- 築年数が古い木造であること(幼少期の家がRC造だったためマイナスに捉えていましたが、のちにデメリットと感じなくなります)
など。
とはいえ、それを上回るほどの好条件!広いおうち!
…気づけば、取扱店舗である不動産屋さんに訪れてました。
思い立ったが吉日
なんのアポもなくいきなり訪れた不動産屋さん。幸いにも、その物件の営業担当者であるS本さんがいて、そのまま話を聞けることになりました。
土地の1047.5㎡というのは登記簿面積であり実測はもう少し大きいことや売主さんがどんな人かなど、上記の物件情報からは分からない部分をお話していただきました。
話がそれるかもしれませんが、実は私…一般常識や語彙力といったものが非常に乏しいのです。恥ずかしながらこのタイミングで初めて「古民家」という言葉を知りました。古民家の定義云々ではなく、「古民家」という単語を知ったのです。「古い」という言葉も「民家」という言葉も知っていたのに、「古民家」という言葉は知らなかったのです。
「古民家が好きなんですか?」と聞かれ、一瞬フリーズしたシーンもありました。古民家の雰囲気は決して嫌いではありませんし、趣があっていいなとも思うのですが、なにぶん幼少期の家はほとんどが洋室であり私の憧れは「幼少期に住んでた家」みたいなところがあったので、質問への明確な回答は誤魔化しつつも正直に「広いおうちが好きです」と答えました。(のちに古民家にドはまりします)
そんなこんなで色々話していると、S本さんと売主さんが電話することになり、偶然にも今なら売主さんがその物件におられて、内見してもいいと仰ってくれるではありませんか!当然「今から行く!」の一択です。このお誘いをいただいた時、「私は強運の持ち主かもしれん」と本気で思いました。
初めての古民家
物件に到着したら、売主のS水さんとご挨拶。年配ながらも気さくな感じの良い男性で「自由に見てまわって」と仰っていただきました。
入ってスグ6畳ぐらいありそうな玄関の広さに驚きを隠せません。そしてそのすぐ隣から、和室5部屋がドドドドドーンと目に飛び込んできます。6畳4室+8畳1室の広さで、まさに圧巻とはこのこと。
「この部屋の中・・・走り回りたいッ!」ひょっこり顔を出す幼少期の私。
「自分の家じゃない。我慢しろ!」全力で阻止しようとする今の私。
ガッツリ心を奪われてしまいました。
他にも、蔵があったり、私好みの納戸があったり、広い庭があったり、見れば見るほど魅力を感じていきます。そして、私が憧れとしていた「幼少期の家」というのは、RC造でもなく洋室でもなく「ただただ広くて遊べる家のこと」だと気づきました。
物件内を一通り見て回ったあと、売主のS水さんと少しお話をしました。
その中で、古民家というのは木組みの特性を活かした伝統工法と呼ばれる造りであり、今もなお建ち続ける世界最古の木造建造物である法隆寺にも通ずることを知りました。ちなみに今の建築基準法のように、柱や梁といったつなぎ合わせる部分や、基礎と土台の間を金物で固定する方法のことを在来工法というそうです。売主のS水さんと営業のS本さんが言うには、「伝統工法の家は立派な木材を使用していることが多く、災害時には最近の在来工法よりも被害が少ない可能性すらある」のだそう。
ほかにも、売主のS水さんの職業が設計士さんで、S水さん自身も当時この物件を一目惚れして買ったことを教えていただきました。
初めて内見した古民家は、(築年数や構造など)今までデメリットだと思っていた悪いイメージを払拭し、私の好奇心を刺激し「買う!」という決意をもたらしました。
物件購入の意思表示
古民家の内見が終わりそのまま不動産屋さんの事務所に戻り、「買いたい!」という意思を伝え、「専属専任媒介契約書」と「不動産購入申込書」を記入しました。
購入価格1,200万円のうち、契約締結時に支払う手付金は120万円、3月末の引き渡し時(決済時)に支払う残代金が1,080万円という内容でした。
問題は、住宅ローンを申し込むかどうか…です。
借金が大嫌いな私でも「借金と投資の組み合わせは、時間とお金の両方を最大限に活かせる」ということは知っています。住宅ローンを申し込むかどうかめっちゃ迷いましたが、決済時期を3月まで猶予していただいたこともあり、「借金イヤだ」の感情ではなく「最大限のメリットを得る」という知識を優先し、次のように住宅ローンを受ける方針に決めました。
- 融資利用の特約:有
- 融資予定額:1,000万円
- 自己資金額:400万円
アポも取らず、印鑑すら持参していない状態で、購入申込を即決した私。後悔はありません。
次回『住宅ローンが通らない』お楽しみに。