先進 集落営農法人の取組みについて③
みなさん、こんにちは。「新しい農業のカタチづくり」を目指している椴 耕作です。
前回に続き「農事組合法人 ファーム・おだ(以下、ファーム・おだ)」の特集です。今回は画期的な取組みの一つである「⽣産体制の効率化」をご紹介させていただきます。
従来の水田稲作における問題点
従来の水田稲作では下図のように耕作者ごとに水田を所有していました。
耕作者ごとに水田を所有することで次のような問題やデメリットを抱えることになります。
<耕作者A 視点の問題やデメリット>
(1) 耕作者A は耕作者B の土地をまたいで耕作しなければならない。
(2) 耕作者B や耕作者C が異なる品種を⽣産すれば水管理等に気を使わなければならない。
<この水田一帯の問題やデメリット>
(1) 一⼾あたりの経営面積が少なく、赤字経営に陥りやすい。
(2) 耕作者ごとに、トラクターやコンバイン、田植え機などの設備投資をする必要がある。
「ファーム・おだ」の「生産体制の効率化」
これらの問題やデメリットを一発で解消するために「ファーム・おだ」は下図のように農地を集約(法人化)した上でブロック化させました。
集約(法人化)といっても、土地の区画や形状等は一切変更せず、地権者・所有権はそのままです。利用権の集約後は「ファーム・おだ」が土地を借りて耕作します。法人は組会員に10a当たりの地代、畦畔管理料(畦草刈り)、水管理料の一定額を支払います。
この集約とブロック化によって、次の3 つの効果を得ることができます。
- 集約によって、移動時間もほぼゼロになり利便性が期待されます。
- 集約した水田では同一品種を⽣産できるため、水管理もしやすくなります。
- ブロック化によって設備投資費用をグンと抑えることができます。
3.は、「ブロックAの田植えが終わったタイミングでブロックBの田植えに取り掛かる」という具合にブロック単位で田植えの時期をずらし、田植え機や稲刈りに必要なコンバインの出番を順番に回すことで、マシンの所有数を大幅に減らすことを意味します。
2016 年に発⾏された営農支援情報誌「FREY」によると、「ファーム・おだ」は上記の方法で全⼾合計7 億6,000 万円もの設備投資額を、法人設⽴時に6,200 万円にまで抑えています。約82%の減額です。また、JA 総合営農研究会 第37 回公開研究会 の報告では、「10aあたり65,000 円の赤字が、法人化によって56,000 円の⿊字に変わる」との記述もあります。
このように大幅な効率化ができれば、おのずと農業収入は上がってくることになります。
次回予告
いかがでしたか︖ 今回は「儲かる農業」への大転換で、地域の人々も元気にしてくれる素晴らしい取組みのお話でした。
次回も「ファーム・おだ」の特集です。私が3 ヶ月にわたって連載したほどの革命家「ファーム・おだ」の絶対的な強みである「特別なお米」を紹介します。
農事組合法人 ファーム・おだ さんのWEBサイト → https://farm-oda.com/
従事者の高齢化等で存続が危ぶまれる「地域の"農"の活性化」をモットーに、「新しい農業のカタチづくり」を目指す農業経営アドバイザー。活動の一環としてMANDY WORKSで農業や地方創生に関するコラムを発信中!
【資格・所属等】
CFP、宅地建物取引主任者、農業経営アドバイザー、農業簿記検定1級、NIE.E指導委員
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